■日本は「野心」と「忠誠心」のバランスが絶妙だった
これはちょっと、予想外の展開になってきたかもしれない。
7月19日から27日にかけて行なわれたE-1選手権で、日本が2013年以来2度目の優勝を飾った。
初戦の香港戦に6対0で大勝するのは予定どおりで、中国との第2戦をスコアレスドローで終えた時点では物足りなさが膨らんだ。しかし、27日の韓国戦で3対0の勝利を飾った。藤田譲瑠チマのアシストから相馬勇紀がヘディングで先制点を決め、佐々木翔がコーナーキックから追加点、最後は町野修斗がダメ押し点を決めた。香港、中国に連勝していたライバルを圧倒しての東アジア制覇は、チーム全体への評価を一変させた。
日本と同じように国内組でチームが編成された韓国は、メンバー発表後に経験豊富なCBキム・ヨングォンが体調不良で辞退し、前回大会MVPのファン・インボムが第1戦終了後に離脱した。ギリシャのオリンピアコスへの移籍が決まったからだった。同じ国内組主体の編成でも彼らがいなかったことには触れておくべきだが、それによって日本選手への評価が損なわれるものではない。
Jリーグ開催中に急増されたチームで、日本の選手たちは良く戦った。即席チームとは思えないほどのまとまりを発揮し、海外組が主力を担うチームに食い込んでやろう、との野心を燃やしてもいた。一人ひとりが胸に抱く自己アピールをしたいとの思いと、チームの勝利を最優先するとの忠誠心が、絶妙なバランスを保っていたと言える。