Jリーグにとって最大の問題は、間違いなく「欧州サッカー」であり、その「世界戦略」だ。放映権収入では飽き足らず、日本を自分たちの「市場」にしてさらに大きな収益を上げようとしていることに、Jリーグは何の対抗策も見いだせない。それどころか、欧州のクラブが「市場拡大」のための「顔見せ試合」を日本で開催することを認め、Jリーグのクラブがその引き立て役として協力してしまっているのである。
■本当の「価値」とは何か
1週間延期になった天皇杯の「東京V対磐田」と重なってしまったから、「PSG対川崎」に行かなかったわけではない。十分なトレーニングもしていない状態で、観光がてらスター選手たちをパンダのように使って「市場拡大」を狙う、プロサッカークラブとして本来あってはならない不真面目で無精そのものの欧州のビッグクラブの活動に、手を貸したくなどないだけだ。
プロのサッカークラブとは、常人では信じ難いほどの努力でチームを鍛え、最高のパフォーマンスを見せることでファンを喜ばせ、人びとの力になろうとするものだ。それを忘れ、カネ儲けに奔走する欧州のビッグクラブ。自分の家に土足で踏み込まれて財布に手をつっこまれるような真似をされても、ただ見ているだけのJリーグ。その一方で、わずか2275人の観客の前で「これが人生最後の試合」のような奮闘を見せる選手たち。何が本当に価値があることなのか、私たちはしっかりと考えなければならない。