■ガラスの天才
16歳256日という若さでアーセナルのトップチームデビューを果たしたウィルシャーは、将来のイングランドを背負って立つ存在と言われていた。172cmと小柄ながらも強いフィジカルを持ち、抜群のサッカーセンスと高い技術で、パス、ボールキープ、決定力とどれも世界最高峰に達していた。アーセナルでともにプレーした元スペイン代表MFセスク・ファブレガスは、ウィルシャーのテクニックを「スペイン的」であると称賛していた。
しかし、度重なる怪我でいつしか天才は「ガラスの天才」と呼ばれるようになった。2011年にPFA年間最優秀若手選手を受賞したウィルシャーだったが、2011/12シーズンは怪我で1試合も出場することができず、1シーズンを棒に振ることに。2015/16シーズンはわずか3試合のみの出場。その後も復帰と怪我を繰り返し、イングランド代表にも選出された時期もあったが、同国代表では34キャップのみとなってしまった。
2020/21シーズン限りでボーンマスを退団したウィルシャーは、無所属のまま翌シーズンが開幕。その後アーセナルの練習に参加すると、同時に、コーチングライセンスに向けた準備も行うこともミケル・アルテタ監督が明かしていた。そして、2022年2月にデンマークのオーフスでのプレーが決定。今季は15試合に出場3アシストを記録していた。かつて世界を驚かせた天才の第2の人生に期待したい。