■競技人口の爆発的増加の要因

 「サッカーでは誰もがクォーターバック」というキャッチフレーズがあったという。アメリカンフットボールでは選手の役割が細かく分けられ、スターになれるのはクォーターバックと呼ばれるパサーだけだった。しかしサッカーなら、誰もが主役になるチャンスがある。サッカーはまた、他人との協調性も育てる競技とされ、中産階級の父母が子どもにすすめるスポーツでもあった。この時代、子どもたちの間での競技人口の爆発的増加が、現在の「プレーヤー2450万人」に結びついている。

 子どもたちへのサッカーの普及は、まず1990年代に女子を世界チャンピオンの座に押し上げ、続いて21世紀にはいってからの男子チームの急成長を生む。

 1990年に40年ぶりにワールドカップ出場を果たし(メキシコにユース年代の大会での年齢詐称が発覚し、FIFAはワールドカップ予選に参加させなかった)、1994年のワールドカップを地元開催したアメリカ。だがこの2大会でのプレーのレベルは、世界のトップクラスからはかけ離れたものだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3