■試合前に寺田コーチが「恥ずかしいな…」

 大量得点差で勝利した川崎だが、試合前には“3つのアクシデント”が起きており、難しい展開となることも予想された。1つは、7月6日(水)のサガン鳥栖戦が直前で中止されたことだ。相手チーム内で新型コロナの感染者が出た影響で、予定が全部変わった。練習時間も変更となるなど、バタバタした感は否めなかった。一方で、連戦を回避できた点は、この試合にも生きたはずだ。

 2つ目は、G大阪戦直前に川崎の選手1人が新型コロナに感染したこと、そして3つ目が、鬼木達監督が濃厚接触者に認定されたことだ。公式戦3戦未勝利という状況で、チームに数々の優勝をもたらした指揮官不在で試合に挑まなければいけなくなったのである。

 それでも、チームに変な気負いはなかった。鬼木監督に代わって指揮を執った寺田周平コーチは、「できる範囲で通常どおりのルーティンでゲームに臨みたい」と、ミーティングでは鬼木監督がリモートで戦い方を説明したという。

 また、その寺田コーチの姿を撮ろうと、報道陣が試合直前にベンチに集まってシャッターを切ったが、寺田コーチは「恥ずかしいな…」と他のスタッフに顔を向けて笑顔を見せていた。選手、スタッフ、両方がいつも通りのメンタルで試合に入れたことは大きかった。

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