日本女子代表は6月、ヨーロッパに遠征し、2試合を戦った。格下相手ではあったが、内容を伴う大勝は、なでしこジャパンの変化をうかがわせた。新しい時代へと向かおうとするなでしこの2試合を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■偶然ではない2試合連続の大勝
東京オリンピックをベスト8で終えた後、高倉麻子監督から池田太監督に交代した女子代表。11月のヨーロッパ遠征ではアイスランドに0対2で敗れ、若手中心のオランダともスコアレスドローに終わり、さらに2022年1~2月にインドで行われたAFCアジアカップでは、グループリーグでの韓国戦は終了間際に同点ゴールを許して1対1の引き分けに終わり、準決勝の中国戦では内容では大きく上回って二度も先行しながら、二度とも追いつかれて2対2のまま終了してPK戦で敗れてしまった(2011年のアメリカとのワールドカップ決勝と同じような得点経過だった)。
攻めていてもゴールに結びつかない得点力の問題と、最後の時間帯に守り切れずに追いつかれるという試合運びの拙さが目についた大会だった。「ワールドカップ出場権」という最低限の結果は残したものの、けっして褒められた内容ではなかったのだ。
その日本代表が、ようやく2連勝。しかも、得点力不足に悩んでいたのが嘘のように2試合連続で5ゴールを決めての連勝だった。しかも、それは偶然の出来事でもなければ、特定の選手の活躍の結果ではない。
高い位置からプレッシャーをかけて中盤でボールを奪って、すばやくボールを動かしてゴールに迫るという狙い通りの試合を展開できたのだ。