【日本女子代表考察】澤穂希の後継者となり得る長谷川唯が示した存在感【新たな姿への変化をうかがわせた「なでしこジャパン」】(1)の画像
長谷川は今後の日本代表をけん引する選手だ 撮影/渡辺航滋(SONY α9 撮影)

 日本女子代表は6月、ヨーロッパに遠征し、2試合を戦った。格下相手ではあったが、内容を伴う大勝は、なでしこジャパンの変化をうかがわせた。新しい時代へと向かおうとするなでしこの2試合を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■セルビア相手の快勝

 6月27日に行われた国際親善試合で、日本女子代表(なでしこジャパン)はフィンランドに勝利。3日前のセルビア戦に続いての連勝となった。しかも、セルビア戦が5対0、フィンランド戦が5対1と、ともに5ゴールを奪っての完勝だった。

 とくに、FIFAランキングで36位(日本は13位)と“格下”のセルビアとの試合は前後半を通じて日本の完勝。パススピードで上回ったうえに、前線からのプレスが効いて、中盤で狙い通りにボールを奪って完全に試合をコントロールした。もちろん、中盤でボールを失うような場面もあったが、セルビア攻撃陣をディフェンシブサードに入れさせることはほとんどなかった。

 もっとも、前半からボールを握って攻撃しているのになかなか先制ゴールが決まらなかった。同じように攻め続けたもののなかなか相手を突き放す得点が取れずに、最後に同点ゴールを許してPK戦で敗れてしまった女子アジアカップ準決勝の中国戦のことが頭をよぎったが、セルビア戦では28分に相手のクリアを拾った右サイドバック清水梨紗からのクロスを、長身のDFと競り合った植木理子が頭で決めて先制して突破口を開くことに成功した。

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