■なぜ「15番」だったのか

 しかし試合終了後、黒田がそっとユニホームを着替えたことは、あまり報道されなかった。試合中に使っていた青いユニホームとまったく同じものだったが、その背中には、背番号15とともに、「KAMAMOTO」の文字があったことも…。

 「釜本さんへの感謝を伝えるために、試合前からみんなで考えていた。そして僕が代表して着ることになった」と、後日、黒田は話している。

 ブラインドサッカーは5人制だが、パラリンピックへの選手登録は1チーム10人。日本も10人の選手を登録したが、背番号は4番から6番と12番が抜け、最年少、スペイン戦の前日に18歳の誕生日を迎えた園部優月が最後の14番を付けた。黒田は背番号11だった。「KAMAMOTO」の文字がはいった特別なユニホームに「15」がついていたのは、単に「14の次」という意味だったのだろうか―。

 先日、AJPSアワードの表彰式でこのエピソードが披露されたとき、私は、とっさにまったく違う「意味」を感じた。サッカーのオールドファンにとっては、「カマモトといえば15番」だからである。

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