■驚異的なカメラによる撮影

 そのVARシステムで大きな課題となっているのが、「最終判定が出るまでに時間がかかりすぎる」ことである。もちろん、いくつもの事象がからんで一つひとつクリアしていかなければならないケースもあるが、明確にひとつのプレーでオフサイドがあったかどうかという場合でも、その証拠となる映像を探しだし、味方がプレーした正確な瞬間で止め、さらに「オフサイドライン」を引くのにかなり手間どるときがある。これが長いときには3~4分間にもなる。当然、その間試合は止まり、選手も観客もただ待つだけとなる。その時間の大幅な短縮に寄与すると思われるのが、「半自動オフサイド・システム」なのだ。

 使われるのは、このために開発された12台の特殊カメラ。基本的に、テレビ放送のために撮影されている映像は使用しないという。これらカメラで撮影された映像は、ピッチ上の全選手について、その体の突き出た29か所を90分間モニターし、ピッチ上の位置をずっとチェックし続けている。このチェックは、なんと1秒間に50回も行われるという。

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