サッカーにも、機械化の波が押し寄せている。今年開催されるワールドカップにも、あらたな変化がもたらされる。サッカーはテクノロジーといかに付き合っていくべきなのか、サッカージャーナリスト・大住良之が検証する。
■「機械になります」が現実に?
「機械になる」と宣言したワールドカップ・ブラジル大会から数年後、雑談のなかで、相樂亨副審はさらにこんな表現をして私を驚かせた「主審の仕事は人間にしかできませんが、副審は遠くない将来に機械に取って代わられるでしょう」。「半自動オフサイド・システム」の話を聞いたとき、反射的に私の脳裏に浮かんだのは、相樂副審のこの言葉だった。
だが、「半自動オフサイド・システム」はまったく違うイメージのものだ。英語で正確に言えば、「Semi―automated VAR offside technology(半自動VARオフサイドテクノロジー」。略称好きのFIFAは「SAOT」と呼んでいる。AI(人工知能)に支えられたオフサイド判定システムではあるが、それはビデオアシスタント・レフェリー(VAR)システムのなかで使われるものに過ぎないのだ。