■前半のシュート数は実は3本
日本代表コンビで奪い取ったゴールに見えたが、好調時の“川崎らしさ”が凝縮された場面だった。谷口にボールを出した大島はすぐに前に走って谷口に時間とスペースを与えると同時に、家長昭博がボールに寄って山根のために右サイドの裏にスペースを作ったのだ。複数の選手が連動する川崎らしい得点だった。
この場面だけでなく、川崎はチャンスを作り続けた。等々力競技場は何度もボルテージが上がった。ただ、公式記録における前半のシュート数は、川崎が3本で磐田が0本。サポーターとしては、盛り上がった場面とこの数字の間には乖離があるはず。チームはこの数字をもっと増やすことができたはずで、それと同時に1点以上にゴールを奪えたはずだった。
「1点、2点と取り切らないといけない。1点差だとこういう“アクシデント”というか、セットプレー1発、カウンター1発もある」
指揮官がこう懸念したように、後半は相手のセットプレーに沈んで勝点2を失った。ただ、試合内容は大島復帰後に格段に良くなっている。今は、王者が最強を取り戻すための“生みの苦しみ”のときとするしかないのかもしれない。