■大阪万博を訪れたW杯得点王
1966年の年末に、ワールドカップ・イングランド大会の公式記録映画「ゴール」が公開されました。僕がサッカーを好きになってから最初の大会です。日本サッカー協会が入っていた東京・原宿の岸記念体育会館のホールで試写会のような催しがありましたが、その後映画館に通って何度も見た記憶があります。
日本国内でやっているサッカーとは異次元の迫力あるプレー。そして、信じられないような美しい芝生。立錐の余地もない立見席……。すべてが驚異でした。
そのイングランド大会のスターの1人が得点王になったエウゼビオ(ポルトガル)でした。大きく足を踏み込んで放つ強烈なシュートの迫力に圧倒されました。そして、エウゼビオが履いていた「プーマ」のシューズも印象的でした。当時の日本にはまだ「プーマ」のシューズは存在しませんでしたから、波のような白いラインの入ったそのシューズに憧れたものです。
1970年にベンフィカが来日した時には、神戸で行われた第1戦の前に大阪・千里で開かれていた万国博覧会を見物に行ったら、ポルトガル館を訪れていたベンフィカの一行に偶然出会って、エウゼビオにもサインをもらいました。また、イングランド大会から20年後の1986年のメキシコ・ワールドカップの時には、アディダス主催のパーティーに行ったら、エウゼビオが一人でポツンと立っていたので、立ち話をした記憶もあります。エウゼビオは、神戸御崎球技場の芝生がとても奇麗だったことをよく覚えていました。
そのエウゼビオが、モザンビーク出身なのです。