サッカーの取材は、試合会場だけがすべてではない。スタジアム周辺、また近くの国にも、材料は転がっているのだ。サッカージャーナリスト・後藤健生は2010年、ワールドカップ取材のために南アフリカを訪れた。だが、「取材対象」は他にもあった。
■南アフリカの周辺国を訪ねる
2010年の南アフリカ・ワールドカップの前後に、僕は南アフリカの周辺国を訪ねました。「アフリカ南部などなかなか訪れる機会もないだろう」と思ったからです(いや、本当は大会直前直後は航空運賃が高かったからです)。
大会の開幕は6月11日でした。僕は6月4日に成田空港を出発してバンコクで乗り継ぎ、6月5日の朝の7時30分にヨハネスブルグのO・R・タンボ国際空港に到着。マプト行きの出発まで時間があったので、その間に南アフリカ滞在中に宿泊する予定だった「Big Tree B&B」(通称「大木旅館」=「放浪記」第46回「大木旅館の愛しのトリフィーナ」の巻参照)の下見をして、荷物の一部を預けてきました。
そして、午後の飛行機でモザンビークの首都マプトに向かいました。
なぜ最初の訪問国モザンビークを選んだのか? そう、あのエウゼビオの出身地を見たかったというわけです。