■増えるオプション
パラグアイ戦の鎌田はUEFAヨーロッパリーグ(EL)王者の実力を見せつけるかのようなさすがの貫禄だった。しばらく代表から離れていた鎌田だったが、所属するフランクフルトで急成長。特に今季の活躍は目覚ましい。
鎌田は今季フランクフルトで公式戦46試合に出場9得点4アシストを記録。ELでは全試合に出場し、バルセロナとの準々決勝2ndレグで1アシスト、ウェストハムとの準決勝1stレグで1ゴールを記録。今季のフランクフルトではなくてはならない存在だった。
今回の日本代表の試合では、成長した姿を見せることができた。欧州でさらに磨かれたテクニック、さらにはフィジカルも上がった。簡単なタックルでは倒されない。強い体幹とフィジカルも活かし、チャンスメイク連発。特にパラグアイ戦の後半は文句なしのプレーだった。
鎌田の活躍でサバイバルレースはさらに激化するだろう。代表のオプションも増え、現在採用している4−3−3において、インサイドハーフとして計算できる選手となった。さらにはチームで担っているシャドーやトップ下も考えられる。今後のオプションとして3バックや4−2−3ー1を採用するのであれば、鎌田の起用は必要不可欠と考えられる。ワールドカップ本大会のことを考えると、オプションは多いに越したことはない。鎌田の成長が日本に与える影響は計り知れないだろう。
もちろん、南米予選などで見せるパラグアイの激しさなどは、今回の試合で見られなかったようにも感じられる。しかし、鎌田のあれだけの落ち着きと並外れたテクニックは、W杯グループリーグで戦うスペイン代表やドイツ代表などの欧州の強豪相手にも通用するはずだ。今の段階では、EL優勝を成し遂げた男はW杯で必要と言えるだろう。あと3試合での鎌田の活躍に注目したい。