■TAAの活躍
この状況でレアルにとって最も怖いパターンは、ブロックの中であっても動き出しでボールを引き出すことができるフォワードがリバプールに複数いる、というものだった。
1人目はサディオ・マネだが、この日は2人目がいなかった。リーグ戦で精彩を欠いていたロベルト・フィルミーノがベンチスタートとなりルイス・ディアスが先発起用されたものの、初の決勝だったためか動きが固く、モハメド・サラーとの関係が機能しなかった。
TAAが攻撃に厚みを生んだり、マネがブロックの中でボールを受けたりした場合には、ビッグチャンスとなった。
16分にはTAAのグラウンダーのボールをサラーが合わせたが、レアルのゴールキーパー、ティボー・クルトワが超反応を見せ横っ飛びで防いでみせた。19分には押し込んだところで後方からやって来たTAAがシュートを放ったが大きく上へ外れた。
TAAがより攻撃に顔を出せばチャンスが増えることは間違いなかったが、ヴィニシウスへの対応を考慮するとそれは不可能だった。TAAはユルゲン・クロップ監督が課したタスクをこなし、ヴィニシウスにはドリブルでの攻め上がりの機会そのものが与えられなかった。