それだけに、今回の「16日間、4試合」の意味は大きい。「まずは、これまでやってきたチームのコンセプト、ベースになることを浸透させ、徹底したい」と語る森保一監督が、さまざまな状況を考慮しつつも、「ワールドカップに想定されるメンバー」でこの6月も、もちろん9月も活動するのは至極当然のことである。「ワールドカップ・ベスト8」という目標にチャレンジする以上、中途半端なことはひとつも許されないからだ。
それは十二分に理解できる。しかしそれでも「彼らはいつ休むのか」という思いを消し去ることはできないのである。
■「風呂にはいらない」はもう通用しない
「オフシーズン」は、単に試合のない時期ではない。週1日の休みもままならず、毎日ハードなトレーニングをし、週に1試合ならまだしも、週2試合、ときには「中2日で6連戦」という過激なスケジュールで戦い、代表戦を含めると年間50~60試合を戦うトップクラスの選手たち。「オフシーズン」は、まず完全にトレーニングも休み、体も心もサッカーから離れてリラックスし、リセットする時期である。そしてまた、シーズンが近づくと、一から体をつくり、激しい試合に臨む心身の準備を行うのだ。
1960年代のこと、ある選手から「ぼくは風呂にははいらない」という話を聞いた。もちろんシャワーは浴びるので、不潔ではない。ただ彼は、風呂おけにゆっくりつかるようなことはしないというのだ。「こうやって一生懸命に鍛えても、風呂にはいってそれをゆるめてしまうと台無しになる」という説明に、私は無条件に感心した。
だが今日では、それがまったくの誤りであるとわかっている。トレーニングで緊張した筋肉と精神を入浴などによっていちど完全に弛緩させることで、睡眠・休息がしっかりと取れ、筋肉は疲労(筋肉が傷ついている状態)から回復し(それが筋肉が太くなるということ)だ)、精神もリラックスして、翌日にはより高いパフォーマンスができるのである。