5月25日に行われた、J1リーグ第15節の鹿島アントラーズvsサガン鳥栖。3-4のビハインドで迎えた97分、鳥栖MF藤田直之が蹴った左CKが同点弾を生んだ。
■空き続けたニアサイドを最後の最後に狙った
この試合で鳥栖のCKキッカーを務めたのは藤田。31分に田代雅也が決めた先制点も、藤田の右CKから決まっている。
このとき、鹿島のGKクォン・スンテはファーサイドに立っており、そこからポジションを中央に移している最中に逆を突かれ、ファーサイドにヘディングシュートを決められた。
後半に入り、60分の場面で鳥栖が左CKを獲得すると、またしてもクォン・スンテはファーサイド寄りにポジショニング。しかし藤田は右利きのため、枠内に向かってくる軌道となり、危うく直接ゴールインの可能性もある。そのなかでファーサイドに立つのはリスキーな選択ともいえる。
結局この場面では、藤田は直接ゴールを狙うことなく、得点には至らず。
そして3-4のビハインドで迎えた97分、鳥栖は左CKを獲得。キッカーはやはり藤田だ。加えて、またしてもクォン・スンテはファーサイドにポジショニング。すると、藤田はこの試合6本目のCKで、初めて直接ゴールに向かうボールを選択。
インスイングで鋭く巻かれたボールはニアサイドへ向かって行き、やや反応が遅れたクォン・スンテは自陣ゴールに向かってセーブする形となり、そのこぼれ球に田代が反応。土壇場で試合を4-4の振り出しに戻した。
GKが空け続けたスペースを最後の最後に狙うという、正確無比なキックが生んだ「伏線回収」ゴールであった。