■大宮は本当に「ポテンシャルのあるクラブ」なのか?
同時に、クラブ側はいま一度ビジョンを明確にするべきではないだろうか。
1年でのJ1復帰を目ざすのか。
中長期のスパンでJ1復帰を目ざすのか。
あるいは、育成型クラブに特化していくのか。
多くのサッカー関係者が、「大宮というクラブには大きなポテンシャルがある」とか「選手の顔触れを見れば、J2にいるクラブではない」と言われる。霜田前監督も原本部長も、着任にあたって同じようなことを話した。
クラブとしてのポテンシャルがあるのは、間違いないだろう。だが、J2での戦いは5シーズン目を迎えている。それでもなお、当事者たちが「J2にいるクラブではない」と考えているとしたら、あまりにも楽観的ではないだろうか。
クラブのポテンシャルや選手のクオリティを理由に「J2にいるクラブではない」とするのなら、過去4シーズン連続でJ1昇格を逃している現実は、直近の2シーズンは昇格争いにさえ絡めなかった現実は、かなり深刻と言わざるを得ない。
「ポテンシャルがある」との対外的な評価を額面どおりに受け止め、具体的な改善をしてこなかったことが、J3降格圏をさまよう現在の立場につながっている、と言われてもしかたがないだろう。J1昇格からトップチームを遠ざけている根本的かつ構造的な原因を取り除かない限り、これからも同じ痛みが繰り返されてしまう。
相馬新監督のもとで挑む初陣は、5月28日の東京ヴェルディ戦だ。J1、J2での指導経験を持つ50歳の指揮官は、大宮をどのように変えていくのか。18時キックオフの一戦は、新監督の就任によって一気に注目度が高まっている。