■試合終盤にもサポーター席から
だが、試合終盤に近付いても勝ち越し弾が遠かった。フリーキックに明本考浩が合わせてゴールかに思えた場面も、味方のファールで得点は認められなかった。ホイッスルが鳴る直前には鹿島ゴールに猛攻を仕掛け、岩尾憲が放った強烈なシュートがポストを叩く場面もあった。そんなチームに対し、サポーター席からは再びチャントが歌われた。一部のサポーターではあったが、またしてもルールを破ってしまったのだ。
浦和も鹿島も、因縁のカードということで熱狂的な空間を作り上げた。両クラブのサポーターではない人が観戦しても、意地と意地のぶつかり合いは見ごたえがあったはずだ。高いプレー強度に、サポーターの手拍子が作る熱気。それは、30周年記念試合にふさわしかった。
しかし、である。この試合を通じて何度かあったルール不順守は考えなければいけない。試合中にも、こうした行為がネットニュースで報じられ、話題になっていた。
コレオグラフィーを作る際、巨大エンブレムがゴール裏に掲げられた。埼玉スタジアムの高さに迫ろうとする大きなエンブレムは、選手もサポーターも目に焼き付けたはずだ。勝利を欲する姿勢を見せることはできた。しかし、ルール順守という意味では、そのエンブレムに誇れる行為ではなかった。