■ニューヨーク市警が見せた「さすが」の力
こうして、ニューヨークではイタリアの試合が3試合もあったのです。そして、試合を警備するニューヨーク市警察(NYPD)もイタリア系警察官が多いことで知られていました。つまり、イタリア人観客をイタリア系の警察官が警備することになったわけです。
ニューヨークは犯罪が多いことでも知られていますが、そんな街をいつも警備しているニューヨーク警察はさすがに実戦慣れしていました。
ある試合の時、観客がピッチに乱入してきました。こういう注目を集める大会ではよくある光景です。そして、警備員がもたもたと追いかけ回してもなかなか捕まらず、何分も試合が中断することもしょっちゅうです。
ところが、NYPDは違いました。すぐに2人の警察官が走り寄って、乱入者を芝生の上にうつ伏せにして、後ろ手をつかんでアッと言う間にピッチ外に連れ出し、試合はすぐに再開されたのです。
それに引き換え、イタリア本国の警察はあまり効率的ではありませんでした。
恰好はいいのです。洒落た制服を着こなして、警棒やヘルメットを小脇に抱えてすっくと立った姿は「さすがイタリアの色男」という風情でした。ただ、恰好はいいのですが、実戦はからっきし弱くて、イングランドのフーリガンとの戦いでは絶えず押しまくられている印象でした。