■経営にも寄与していた「栄誉」

 元々、バルセロナは補強に大金を投じて成功させ、チームを強化してきたクラブではない。

 少し時を遡る。2010年のFIFAバロンドール(現バロンドール)授賞式。最終候補3名に選ばれたのはメッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタで、いずれもバルセロナのカンテラーノだった。ラ・マシア(バルセロナの育成寮)出身の3選手が、世界一の称号を授かるため、ひとつの写真に収まる。その画は、バルセロニスタにとって、何よりの誇りだったはずだ。

 さらに、こうした選手たちが在籍するという事実は、単なる誇りに留まらなかった。当時、他クラブがメッシ、シャビ、イニエスタの獲得を狙ったとしたら、いったいいくらの移籍金が必要になったのか想像もできない。こうした選手たちを自前で育て、長年擁しているという事実は、抜群の費用対効果が得られているという事実を意味していた。

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