■「クラブ以上の存在」の意味
現在のバルセロナは、かつてとはまったく違う状況に陥っている。本来持っていた哲学を忘れそうになっている、と言ってもいい。
ガビ、ニコ・ゴンサレス、ロナウド・アラウホ、エズ・アブデ、イリアス・アコマック、フェラン・ジュグラ、アンス・ファティ…。現在のトップチームにも、優秀なカンテラーノがそろっている。
現在、世界で有数のタレントであるペドリ・ゴンサレスは、正確に言えばバルセロナのカンテラーノではないものの、17歳でバルセロナ行きを選び、瞬く間にスターダムをのし上がった。若い選手たちが自らの成長のために憧れるクラブ。それこそがバルセロナであり、そのブランド価値はまったく廃れてはいない、ということだ。
メス・ケ・ウン・クルブーー。“クラブ以上の存在”を謳う、いわずと知れたバルセロナが標榜するスローガンである。
人を育み、歴史と文化を紡いでいく。そうして、バルサは単なるクラブを超えた存在となっていく。
バルサの歴史で、優秀な選手の補強が実った例は数多い。アーリング・ハーランドでも、ロベルト・レヴァンドフスキでも、獲得すればいい。ただし、ピッチ内の方向性とクラブの哲学が揺らぐことがあってはならない。