【ラ・リーガ分析】にじみ出る「宿敵」レアル・マドリードとの差と哲学の「揺れ」【バルセロナの補強策に浮かび上がる「疑問」と「矛盾」】(3)の画像
バルセロナは「クラブ以上の存在」であるはずだ 写真:原悦生

 世界的名門クラブであるバルセロナが、再起への道をたどろうとしている。監督には、クラブOBのレジェンドを呼び寄せた。少しずつではあるが、補強も施し、この夏にも新戦力を迎えようとしている。ただし、その足取りは正しい方向へと向かっているのか。

レアル・マドリードとの違い

 いまだ経営の不安定さを露呈しているバルセロナと、対照的な状況にあるクラブがある。長年のライバル、レアル・マドリードである。

 レアル・マドリードは、2020年夏と2021年夏、目立った補強を行わなかった。新型コロナウイルスによるパンデミックの襲来で、多くのクラブの財政が打撃を受けた。レアル・マドリードも、その災厄からは逃れられなかった。

 2020年夏の移籍市場にかけた補強費は「ゼロ」だった。マルティン・ウーデゴール、アンドリュー・ルニン、アルバロ・オドリオソラといった他クラブにレンタルしていた選手を呼び戻したが、移籍金を払って外部から獲得してきた選手は一人もいなかった。

 2021年夏の移籍市場では、移籍金3100万ユーロでエドゥアルド・カマヴィンガを獲得。だがダビド・アラバ(フリートランスファー)、ダニ・セバージョス(レンタルバック)、ルカ・ヨヴィッチ(レンタルバック)、ガレス・ベイル(レンタルバック)と、前年の夏と同様に、基本的に移籍金を支払うことなくチームをつくり上げた。

 欧州のフットボールシーンにおいては、夏の移籍市場の方が冬の移籍市場よりも活発である。“金満クラブ”のイメージがあるレアル・マドリードだが、直近2シーズンの開幕前のウィンドウでの補強費、計3100万ユーロは、バルセロナが先の冬にフェラン・トーレス1人の獲得に投じた5500万ユーロにも満たなかった。

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