■守備のリスクも考慮した攻撃

 守備陣は大柄で強く速く、中盤はボール奪取の能力に長け、攻撃陣は奔放にプレーしながらも常にゴールを狙っている選手たち。予選で目立ったのは、センターバック、あるいはアンカーのカゼミーロから相手DFラインの背後をつくロングパスがけられ、両サイドのFWが斜めにゴールに向かって走って突破を狙う形が数多く織り交ぜられていることだった。こうした攻撃は相手の守備にダメージを与え、同時に守備面でのリスクも少ないことから、勝率の高さに結びついている。

 才能と戦闘力のかたまりのような選手を並べ、どんな試合でもシリアスに勝利を追い求める現在のブラジル代表チーム。その「チーム・パーソナリティー」というべきものをつくり上げたのが、監督のチッチだ。1961年5月25日生まれの60歳。ケガのため選手としては27歳での引退を余儀なくされたが、ブラジル国内を中心に数多くのクラブを指導し、タイトルをとってきた。ちなみにチッチが国外で指導をしたのは2クラブだけで、2007年にアルアイン、2010年にアルワハダと、ともにUAEのクラブを指揮している。

(4)へ続く
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