■これまでのチームにない姿勢

 だが今回の予選17試合で失点わずか5という守備力は、GKとDFラインの選手たちだけできたものではない。チッチ監督は最前線からの守備の徹底を要求し、選手たちは相手ボールになった瞬間に誰ひとりとして休むことなく守備のタスクにはいる。元来、それぞれ選手はFWであっても圧倒的なデュエルの強さをもっている。チームディフェンスのレベルの高さは、これまでのブラジル代表にない「全員守備」のたまものだ。

 ブラジルの基本システムは4-3-3。中盤は「アンカー」1人と「インサイドMF」が2人だが、アンカーにはチッチ監督になって以来ほぼ無条件にポジションが与えられているカゼミーロ(レアル・マドリード=30歳)がはいる。的確なポジショニングとボール奪取能力をもち、圧倒的な存在感の持ち主だ。彼の控えはファビーニョ(リバプール=28歳)ということになるか。

 「インサイドMF」では、フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド=29歳)が主力のひとりになった。派手さはないがすばらしい運動量で中盤をカバーする。このポジションでプレーするフレッジの特徴のひとつが相手ボールを奪い取る能力であるところにも、現在のブラジル代表の「守備」に対する姿勢が表れている。もうひとりの「インサイドMF」の候補には、コウチーニョ(アストンビラ=29歳)、のほか、ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル・ユナイテッド=24歳)、ドウグラス・ルイス(アストンビラ=23歳)など、昨年の東京オリンピック金メダルの若手がいる。

(3)へ続く
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