■サッカーよりクリケット?

 PK284便は午前4時40分にカラチに到着しました。

 乗り継ぎのバンコク、マニラ経由成田行きのPK760便の出発時間は夕方の18時。「まる一日、何をしてればいいんだ?」と思っていたのですが、乗り継ぎ客のためのカラチ市内観光ツアーがあるというので20USドルを払って参加しました。

 大型バスに乗って、パキスタン独立の父、ムハンマド・アリ・ジンナーを祀った「ジンナー廟」といった壮麗な建築物などを巡り、ランチにも連れて行ってくれました。しかし、やはり最も印象的だったのは人口過密で大混乱のカラチ市内の様子でした。

 パキスタン・イスラム共和国の現在の首都は北部のイスラマバードですが、カラチは1947年に英国から独立した時の首都で、今でもパキスタン最大の都市。現在の人口は1500万人、周辺都市を含めると2000万人を超えています。

 もともとは英国人がインド経営の拠点として建設した港湾都市で、19世紀末の人口は10万人ほどだったそうですが、独立後に急激に人口が拡大し、乱開発が繰り返されました。都市インフラがまったく不足して混乱の極みにあるのです。インド・ベンガル州のコルカタ(カルカッタ)やバングラデシュの首都ダッカなどとまったく同じです。

 バスの中からそんな街の様子を眺めながら「いつかはきっと、このエグそうな街を見物しに戻って来たい」と思ったのですが、それから25年経ってもカラチを訪れる機会はとうとう巡って来ませんでした。残念ながら、僕はクリケット・ジャーナリストではないもので……。

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