こうして、かなり違ったやり方でチーム作りを進める2人のスペイン人指導者。今のところチームの安定感という意味ではFC東京の方が上にいるようだが、この日の直接対決を見ると完成度さえ上がってくれば、浦和が相当に強化されていきそうだという予感も感じさせる。

 かつて、Jリーグでは数多くのブラジル人監督が活躍していた。だが、最近はブラジル人指揮官の数は減り、とうとう伝統的にブラジル路線を続けてきた鹿島もスイス人指導者を招聘。気が付いてみれば、ブラジル人監督は柏レイソルネルシーニョ監督ただ一人となってしまった(ネルシーニョは、Jリーグ創世記から活躍する超ベテラン監督だ)。

 そして、その代わりに増加しているのがスペイン人指導者ということになる。

 ヴィッセル神戸にもロティーナ監督が戻ってきた。

■スペイン人監督は日本人選手に向いている?

 ミゲルアンヘル・ロティーナ・オレチェバリア監督は、FC東京と浦和レッズの2人の監督とは違って、長くリーガ・セスパニョーラでプレーし、そして現役引退後はエスパニョールやレアル・ソシエダードを含めて多くのクラブで監督を歴任した経験豊富な指導者。年齢的にも、少し上で今年の6月で65歳となる。

 いずれにしても、これでJリーグの外国人監督としてはスペイン人が最多となる時代が到来したことははっきりしている。

 スペイン人指導者は、言語化された戦術指導をするだけに、監督の指導に忠実で、また戦術理解力の高い日本人選手向きなのかもしれないが、そのあたりは今後の各チームの強化の進み方に注目していきたい。

 昨年の東京オリンピックでは、日本代表は準決勝でスペインと死闘を繰り広げた。そして、Jリーグではスペイン人指導者が多数派となっているのである。そんな時代にワールドカップという最高の舞台でスペイン代表と初めて対戦することが決まったが、それも何かの縁なのかもしれない。

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