J1リーグ第8節には、注目カードが複数あった。その中でも異色だったのがFC東京と浦和レッズの対戦だ。結果はスコアレスドローだったが、内容は熱戦だった。見どころ満載の一戦となった理由を、サッカージャーナリスト・後藤健生がひも解く。
■完成度が高まらない浦和
こうして、90分にわたって(アディショナルタイムを含めれば96分以上)激しい攻防を繰り広げた試合ではあったが、結局はスコアレスドロー。
やはり、両チームともに完成度は低いと言わざるを得なかった。
浦和のリカルド・ロドリゲス監督は就任2年目のシーズンなのだから、もう少し完成度が上がっていないといけないのだが、狙いの形を実行できる回数が少なすぎる。うまくつながった時には素晴らしいサッカーができるのだが、それが90分コンスタントに続かないし、試合によって出来がかなり違うのだ。
2年経っても、まだ完成度が高まらない理由は次々と選手が代わり、それに伴って選手の配置も猫の目のように変わるからだ。
この日の先発11人を見ても、ロドリゲス監督就任以前から浦和でプレーしていた選手はGKの西川周作とDFの岩波拓也、MFの柴戸海の3人だけなのだ。そして、今シーズンに入ってからもダヴィド・モーベルグやアレックス・シャルクがチームに加わっている。
それだけに、選手の配置もどんどん変化。たとえばFC東京戦で左サイドバックに入った明本考浩はマルチ・プレーヤーであり、前線のポジションでプレーすることも多い。つまり、チームの枝葉だけではなく、中心軸さえも固定されていないのだ。