■三笘への「サポートの質向上」は不可欠

 この試合では、ベトナム側が人数をかけて三笘封じを実行。そのなかで背番号21のドリブル突破を活かすには、単純ではあるが周囲のサポートの質向上が不可欠だろう。
 
 そもそも三笘は、単独突破型のドリブラーというよりかは、周りの選手のサポートを活かしながら突破していくタイプだ。加速をチラつかせながら味方へパスしたり、逆にパスをチラつかせながら加速したりと、「サポートありきの駆け引き」を得意としている。

 川崎フロンターレ時代から見せていたドリブル突破は、脇坂泰斗旗手怜央セルティック)らの抜群の立ち位置あってこそのものだった。
 
 しかし、ある程度仕方ないことではあるものの、代表では周囲との連携やサポートがまだ構築しきれていないように感じる。

 例えば42分の場面で、三笘が強引に仕掛けてゴールラインを割ってしまったシーン。三笘がタッチライン際で受けたとき、左SBの中山雄太は三笘の斜め前にあるハーフスペースに立っていた。しかし、三笘がドリブルを開始した瞬間に後方へと下がってしまう。

 おそらく中山の意図としては、ネガティブトランジションに備えるため、そして三笘に仕掛けるスペースを与えるために後ろへ立ち位置を修正したのだろう。この後方サポートは川崎フロンターレで登里享平もやっていたが、ベトナム戦のような試合に関してはそのサポートだけでは物足りなかったのかもしれない。

 この場面で中山は、そのままハーフスペースを駆け上がってマークを引きつけ、三笘にカットインとスルーパスの選択肢を与えることもできたはずだ。確かに三笘がボールロストする可能性を考慮することも大切だが、日本の選手はベトナムのカウンターの威力を鑑みて「攻撃的なサポート」をもっと多く実行する必要があったのかもしれない。

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