■三笘にスペースを与えるため「別エリアで時間を作る」

 もう1つ、三笘の活かし方として挙げられるのは、他のエリアでの「引き付け」だ。

 例えば川崎時代には、ボールキープに長けた家長昭博がタメを作り、相手を右サイドに引き付けてから左サイドに展開。これによって広いスペースでボールを持てた三笘は、水を得た魚の如く相手守備陣を切り裂いていた。

 しかしベトナム戦では、三笘にボールが渡るまでの経緯やパスルートがやや単調だった。タッチライン際でボールを持った時には、既に相手の守備は整備された状態。いくら最強ドリブラーとは言え、右SH、WB、右CBによってスペースを圧縮されたなかでの突破はさすがに厳しいものがある。

 別エリアで時間をかけてボールを回し、相手をバラけさせたり間延びさせたりしてから三笘に渡すなど、もう少しポゼッションに工夫を凝らさなければならない。

 代表という即席チームでは難しいことだが、三笘の仕掛けを活かすためにも、チーム全体としてドリブル突破できる仕組みを作る必要があるだろう。

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