サッカー日本代表は3月24日、オーストラリア代表とのワールドカップ・アジア最終予選に臨む。勝てば本大会出場が決まる大一番を前に、次々と負傷者が出てしまった。だが、このピンチもチャンスになり得ると、サッカージャーナリスト・後藤健生は説く。日本代表の進化の可能性とは――。
■変化を続けてきたチームづくりの手法
最近の日本代表は「新陳代謝」を繰り返すことによって変化することが多い。だが、かつては監督交代によってチームの顔ぶれが全面的に変更になることの方が普通だった。
1998年のフランス・ワールドカップの後にフィリップ・トルシエ監督が就任すると、トルシエは20歳前後の選手を中心に大幅に若返ったチームを作って2002年日韓ワールドカップで結果を出した(トルシエの育てた選手たちは、その後、長く日本のサッカー界を引っ張る存在となった)。そして、2002年大会が終了してジーコが監督に就任すると、ジーコ監督は中田英寿や中村俊輔、小野伸二、稲本潤一の「黄金の4人」をピッチに並べてみせた。
ジーコ監督はスター選手を起用して、同じメンバーで試合を重ねることでコンビネーションを確立しようとした。だが、2006年のドイツ・ワールドカップでジーコ監督の日本代表は1分2敗という成績で敗退。その後、イビチャ・オシムが監督になると、オシムは「水を汲む人」を中心にチーム作りを開始したので、メンバーは文字通り一新された。