もちろん、今の川崎も万全ではない。

 昨シーズンの途中に三笘薫田中碧が海外移籍。さらに、昨シーズン終了後にも旗手怜央セルティックに渡って大ブレーク。川崎は新しい選手を使いながら、チームの完成度を上げていかなければならないのである。実際、開幕直前に行われた富士フイルムスーパーカップではコンディション的にもまだ仕上がっていないようで、浦和レッズに完敗してしまっていた。

 しかし、スーパーカップから中5日で行われた開幕戦では川崎のコンディションはかなり上がっていたし、パスの回り方もかなり改善されてきていた。

■「テストの場」を有効活用した川崎

 スーパーカップでは新加入のチャナティップを左ウィングで先発させたが噛み合わなかった。そして、後半はマルシーニョを投入してチャナティップは左のインサイドハーフにポジションを移してプレーした。そして、FC東京戦ではスーパーカップの後半とまったく同じ布陣でスタートし、川崎はキックオフ直後から数多くのチャンスを作ることに成功した。

 つまり、鬼木達監督はスーパーカップという“テストの場”を有効に使ったということになる。

 前半の立ち上がりは完全に川崎のペース。3分にはボランチで起用された大島僚太と右ウィングのマルシーニョのパス交換でFKを獲得し、脇坂泰人のFKが壁に当たってCKとなる(4分)。さらに、6分にはチャナティップのスルーパスからマルシーニョがクロスを入れ、東京のエンリケ・トレヴィザンが辛くもCKに逃げる。11分にもDF車屋紳太郎からの長いパスを受けたマルシーニョが再び高速のクロス。

 川崎の攻撃が続いた。

 こうして、川崎がチャナティップとマルシーニョがいる左サイドからチャンスを作り続け、そして東京のDFエンリケ・トレヴィザンとGKヤクブ・スウォビィクが好守でしのぐという展開が続いた。

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