サッカーの取材は、フィールドワークである。サッカー・ジャーナリストであり、蹴球放浪家の後藤健生は、サッカーの街を歩く術を知る。だが、時には歴戦の放浪家を迷わせる街も存在する。世界の広さを思い知らせるかのように...。
■分かりやすい碁盤の目状の街並み
もう1か所、僕が苦手なのは香港の香港スタジアム周辺です。やはり丘の上なのですが、それほど高低差があるわけではなく、道もそれほど曲がりくねっているわけではないのですが、どういうわけかよく道に迷います(原因不明)。
1978年ワールドカップで初めてアルゼンチンのブエノスアイレスに行った時もなぜか道に迷いました。
ブエノスアイレスのセントロ(中心街)は(新大陸にスペイン人植民者が築いた街はどこも同じですが)、中心に大きな広場があって、その広場を中心に碁盤目状の街並みになっています。南北方向と東西方向の道路が直行しているわけです。
ブエノスアイレスの場合、東を流れるラ・プラタ河を背にして大統領官邸(カサ・ロサーダ)があります。ワールドカップで優勝すると、代表チームはこのカサ・ロサーダのバルコニーに立って、プラサ・デ・マージョ(五月広場)を埋める大群衆に向かってカップを掲げ「バモ、バァモ~」と歌いながら飛び跳ねるわけです。