■分かりやすそうで、分からない街並み
ブエノスアイレスの中心街は、その五月広場を中心に碁盤目状の街が広がっており、「ディアゴナル」と呼ばれる45度斜めになった道路も何本か通っています。
きわめて分かりやすい街のはずです。何本かの大通りの名前さえ覚えてしまえば、タクシーの運転手が道を知らなくても平気というわけです(「蹴球放浪記」第87回「タクシー運転手の憂鬱」の巻を参照)。
ところが、1978年に初めてブエノスアイレスの街を歩いた時は、すぐに道を間違えてしまったのです。いつも、方向を90度間違えてしまうのです。つまり、南北の道だと思っていたら、実際はそれが東西方向の道路だったということが何度もあったのです。
「こんなに分かりやすそうな街並みなのに、どうして道が分からなくなってしまうのだろうか……」。原因がなかなか分かりませんでした。
「う~~ん、なんでなんや?」
そうして、1週間くらい悩んだ末に僕は原因について思い当たりました。