■普通ならば考えにくい偏り

 2004年2月の2006年ドイツ大会予選のオマーン戦以来、ことし2月1日のサウジアラビア戦まで、日本代表は5大会、総計74のワールドカップ予選を戦ってきた。ホームゲームは37試合。その73%に当たる27試合が埼玉スタジアムでの開催である。残りの10試合は、横浜国際総合競技場で4試合、他競技場が6試合。このうち昨年のフクダ電子アリーナ(千葉)でのミャンマー戦はコロナ禍での無観客試合。パナソニックスタジアム吹田での3試合は、東京オリンピックの関係で埼玉スタジアムが使えなかったためだった。

 そしてこの埼スタでの27試合のワールドカップ予選で、日本は23勝3分け1敗という驚異的な好成績を残しているのである。総得点は67、総失点はわずか9。そして総得点の61.2%に当たる41得点が「北側ゴール」に吸い込まれている。劇的な決勝ゴールだけではない。北側のゴールと南側のゴール、普通に考えれば得点がはいる確立は五分五分のはずなのだが、これだけ偏りがあるのはなぜだろう。ちなみに、失点9の内訳は、北側ゴールが4、南側ゴールが5である。

 忘れてはいけない。2002年のワールドカップでも、「埼スタの北側ゴール」は日本代表に縁起のいいものだった。日本代表が埼玉スタジアムで戦った唯一の試合、大会初戦のベルギー戦である。小野伸二のロングパスを追った鈴木隆行がバレリーナのように右足のつま先を伸ばしてボールに触れ、同点ゴールを流し込んだのも、ドリブルで進んだ稲本潤一が逆転ゴールを叩き込んだのも、もちろん、北側のゴールだった。

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