■もはや「やっぱりな...」

 こうなると、大事な試合で埼スタの北側ゴールに日本の重要なゴールが決まっても、「やっぱりな…」としか感じなくなる。2013年の6月に行われたオーストラリア戦。引き分けなら出場権獲得という試合で、終盤に不運な1点を許して苦しんだ日本だったが、アディショナルタイムに本田圭佑のクロスが相手のハンドを誘い、これを本田自身が決めて1-1の引き分け、「世界最早」で出場権を確定する。2016年のイラク戦では、1-1で迎えた後半アディショナルタイムにCKのクリアを拾った山口蛍が16メートルからの強烈なシュートを叩き込み、この予選の初戦でUAEに敗れて苦境に立たされていた日本に起死回生の勝利をもたらす。

 そして2021年10月には、オーストラリアと1-1の状況で迎えた後半41分、浅野拓磨がペナルティーエリア左から放ったシュートがタックルにきた相手DFの足に当たって高く上がり、名GKマシュー・ライアンの頭上を越えると、右ポストに当たったボールをクリアしようとしたアジズ・ベヒッチがゴールにけりこみ、オウンゴール。この試合を前に1勝2敗と苦しみ抜いていた日本代表を蘇生させる勝利をもたらした。言うまでもなく、埼スタの北側ゴールである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4