サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、大住良之の「超マニアックコラム」。今回は、科学で解明することはできないが、それだけに魅力的でもある「ミステリー」の話。
■岡田ジャパンを救った珍ゴール
2年連続、ワールドカップ予選の初戦で引き分けという苦しいスタートになるのを救ったアディショナルタイムの決勝ゴール。けっして勝負をあきらめない「ジーコ魂」とも言われたが、その一方で、早くも日本代表についている「埼スタの北側ゴール」の強運が語られるようになる。
そしてそれは、信じ難いことに、その後も続くのである。わずか49日後、2005年3月のバーレーン戦、やはり前半に中村俊輔がPKを防がれ、後半まで一進一退の試合となったが、後半27分に中村のFKからゴール前で2回、3回とヘディングされた後、ゴール前に落ちたボールを相手DFがゴールにけり込んでしまい、それが決勝点となったのだ。
監督が岡田武史に変わり、2008年6月には、やはりバーレーンをホームに迎え、0-0のまま迎えた後半45分、中盤から内田篤人がヘディングでゴール前に上げると、ボールはワンバウンドして大きくはね、そこに巻誠一郎が走り込んできたこともあってGKは反応することができず、そのままゴールに吸い込まれるという、珍しいゴールが決まって1-0の勝利。2011年には、アジア3次予選の初戦、北朝鮮戦で、後半のアディショナルタイムに清武弘嗣のクロスを受けた吉田麻也が鮮やかなヘディングシュートを決め、1-0の勝利をつかむ。もちろん、すべて「埼スタの北側ゴール」である。