後藤健生の「蹴球放浪記」第95回「香港から陸路国境を越えて中国入り」の巻(1)木村和司がボールをセットするだけで沸いたワールドカップアジア1次予選のアウェイ・香港の観客の画像
スペイン・ワールドカップのアジア予選、日本対北朝鮮の準決勝入場券 提供/後藤健生
■【画像】貴重な1980年代の中国の出入国スタンプ

 蹴球放浪家・後藤健生は、サッカーあるところ、どこにでも赴く。だからこそ、まだ国内では情報が圧倒的に少ない1980年代でも、日本代表の好勝負を目にすることができた。その香港の地の先には、未知の世界である中国が待ち受けていた。

■年末年始の香港でW杯予選

 初めて中国本土に足を踏み入れてソフトボールの中国女子代表と試合をしてから約1年後。僕は、再び中国探検に向かいました。1981年1月1日のことです。

 1980年の12月から翌年の正月にかけて、香港でスペイン・ワールドカップのアジア1次予選があったので、それを観戦に来たのです。

 知り合いの香港人が持っている部屋に泊めてもらいました。古い啓徳(カイタク)空港のそばの高層ビルでした。香港は地震がないので(それに土地も足りないので)、古い高層ビルが所狭しと建ち並んでいます。

 啓徳空港というのは九龍半島の東側、市街地の真ん中にある空港です。滑走路は海の中に突き出しています。部屋のベランダでビールを飲んでいると、目の前を大型ジェット機が通り過ぎていきます。

 この時は12月25日に到着して1月5日まで滞在しましたから、香港で11泊したことになります。

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