■スーパーリーグができれば状況はさらに悪化する
原因はもちろん「資金力」の違いだ。イングランド、イタリア、スペイン、ドイツ、そしてここ10年間はフランスが加わり、現在では「ビッグ5」と呼ばれるリーグに巨額のテレビ放映権料が流れ込み、予算を膨張させたビッグクラブが世界のスターを買いあさって、たちまちのうちに「スター軍団」をつくり上げたのだ。予算規模の小さなベルギーやオランダのクラブでは、こうした「ビッグ5」と呼ばれるリーグのビッグクラブに太刀打ちするすべもなかった。
そうした状況に甘んじるだけでなく、「トップ中のトップ」が「ビッグ5」からも抜け出して「スーパーリーグ」をつくってしまえば、さらにベルギーとオランダ両国の国内リーグの地位は低下し、どんどん沈み込んでしまう…。そうした危機感が、何回も「ベネリーガ」に向けての動きをつくり出した。
両国とも、国内的には、ひとにぎりの「ビッグクラブ」が存在し、その他のスモールクラブとの「二層構造」がはっきりしている。たとえばオランダでは1956年に始まったプロリーグで優勝を飾っているのはわずか5クラブに過ぎず、そのうちアヤックスが27回、PSVが21回、フェイエノールトが10回と、「3強」だけで95%を占めてしまっている。欧州大陸では最も早く1895年に国内リーグが始まったベルギーでも、戦争による中断期を除いてすでに118回を数える全国トップリーグの歴史のなかで、アンデルレヒトが34回、クラブ・ブルージュが17回の優勝を飾って他を圧倒している。