「欧州スーパーリーグ」「ビッグ5」への資金集中の危機感がもたらした「ベネリーガ」誕生への動き【クラブサッカー激変の時代】(1)の画像
多くの日本人選手がプレーしてきたオランダだが、放映権料などマネーレベルでは5大リーグに歯が立たない 写真:渡辺航滋

 サッカーは残酷である。白黒がつくのはもちろんだが、資金力が大きな要因となって、勝者と敗者を分かつのだ。
 ヨーロッパではその差を埋める新たな案が浮上しているが、日本にとっても「対岸の火事」ではない。マネーによるパワーゲームで生き残りを懸ける小国の試みを、サッカージャーナリスト・大住良之が読み解く。

■危機感が呼び起こした変革への動き

 2020年代は「クラブサッカー激変の時代」として記憶に残ることになるのだろうか―。

 2021年4月に12クラブが集まって設立が発表された「欧州スーパーリーグ」構想は、ファンとメディアの総攻撃にあってわずか48時間で「沈没」した。しかし当事者たちはあきらめてなどいない。スペインのレアル・マドリードバルセロナ、そしてイタリアのユベントスなどを中心に、「水面下」で活発な動きが続いている。「沈没船」と思っていたものがある日突然浮上し、世界を制圧するような偉容を現しても何も不思議はない。

 そしてその動きを感じて、このままでは自分たちはますます先細りになるという危機感を抱き、「変革」を模索するリーグやクラブがすでに現れている。その最も活発な動きが、ベルギーとオランダで始まっている。両国を合わせたトップリーグ「BeNeLiga(ベネリーガ)」の創設である。

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