■諦めたプロ入りという夢
藤川さんからも、サッカーの話を切り出せなかった。
「少しずつ試合に出るようになった彼にチケットを確保してもらって、観戦に行っていました。ガッツリと刺激を受けていたし、同じ舞台で戦いたいと思っていました。でも、大学の関東選抜にも選ばれていないのに、そんな話なんて恥ずかしくて言えません。プロになりたいとか、そういう話は一切しませんでした」
大学2年の冬の公式戦デビューで、藤川さんは自慢のキックで決勝点をアシストした。当時J2だったクラブのスカウトの目に留まり、練習参加するようになった。
「そのタイミングで、J2からオファーが来たらプロの世界に行きたいという思いが出てきました」
3年生になり、同期は就職活動の準備を進める。先輩も、優良企業から内定を得ていく。大学3年の12月、自ら決めたボーダーラインを超える話が来ることはなく、夢に区切りをつけた。