■スタンドが直線の横浜の競技場

 たとえば、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)の場合を考えてみよう。このスタジアムでは、メインスタンドとバックスタンドの形状は直線状になっている。

 スタンド中央付近にはトラックの外側(アウトフィールド)に幅跳び用の助走路(および着地用の砂場)が設けられている。助走路をトラックの内側に置いてもいいのだが、そうするとトラック内の芝生がサッカーやラグビーに使えなくなってしまうからだ。

 その分、スタンドの最前列はトラックの外側からの距離が遠くなってしまう。

 そこで、国立競技場など多くのスタジアムではメインスタンドやバックスタンドを丸くカーブさせることで、スタンド中央部は助走路の分、トラックからの距離が遠くなるにしても、スタンドの両端はトラックの外側からの距離が近くなるようにしてある。

 スタンドが円弧状だと、スタンドの両端付近に座っても逆側が見やすくなるという効果もある。100メートル競争のゴール付近の座席からも、スタート地点が見やすいのだ。

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