【スタジアム考察】スタンドとピッチを近づける「カーブ」【新国立競技場の魅力と問題点】(2)の画像
ピッチとスタンドの近さに「カーブ」が一役買っている 撮影:中地拓也

 年末年始を通じて、「新」国立競技場には多くのサッカーファンが足を運んだ。東京オリンピックのメイン会場になるなど多目的での使用が可能だが、サッカー観戦にも向いているとサッカージャーナリスト・後藤健生は考える。一方で、気になる点もある。新国立競技場の魅力と問題点をひも解く。

■球技専用スタジアムとの最大の違い

「国立競技場が、陸上競技場としてはサッカーの試合が見やすい」という理由の一つは、スタンドの最前列と陸上競技用のトラックとの距離が比較的近いことだ。

 陸上競技場の場合、サッカー(球技)専用スタジアムに比べて試合が見にくい理由はスタンドからピッチまでの距離が遠いからだ。陸上競技用のトラックは第1種陸上競技場では1レーンから9レーンまであり、1レーンの幅は122センチと厳密に決まっている。そして、サッカーのピッチからスタンドまでの距離は、このトラックの幅に、ピッチからトラックの最も内側までの距離、さらにトラックの外側からスタンド最前列までの距離を足したものということになる。

 前の2つの数字は、ほとんど自動的に決まってしまう。問題は、トラックの外側からスタンド最前列までの距離だ。

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