■大切な司会者とのコミュニケーション

 それはともかく、アジアサッカー連盟(AFC)や国際サッカー連盟(FIFA)の大会に行くと、司会者の動きはまったく違う。彼(あるいは彼女)は、登壇者の話などほとんど聞いていない。登壇者が語っている最中に、彼(あるいは彼女)は記者たちを見渡し、次の質問者を決めているのである。

 こうした司会者のときに、前の質問に対する答えが終わってから手を上げても、ほとんど指してはもらえない。指してもらうにはひとつのコツがある。司会者をじっと見つめることだ。登壇者の話の最中に、司会者は会見室を見渡し、次の質問者を探している。その視線が自分を通過するときを見逃さず、軽く手を上げる。顔の高さ程度でよい。すると司会者はうなずき、「次はきみだ」という顔をするのである。

 こうして、彼(あるいは彼女)は次々と質問者を決め、登壇者が話している最中に「最初はきみ、次はきみ、そして最後にきみ」と、段取りを終えてしまう。こうして、ときには、司会者が「それでは質問を」という前に、質問できる者はすべて決まってしまっているという場合さえあるのだ。

(4)へ続く
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