■恩恵を受けたヴィニシウス
そしてアンチェロッティの就任で最も恩恵を受けたのが、ヴィニシウス ・ジュニオールだ。「ヴィニシウス の1対1の強さは素晴らしい。しかしながら彼はゴールを奪うために4タッチも5タッチもする必要はない。1タッチか2タッチでいいのだ」とアンチェロッティが語っていたように、その指導が徐々に結果につながっていった。
ビニシウスは今季公式戦で24試合12得点を記録している。これまでの彼は、サイドに張って仕掛ける典型的なウィンガーであった。ただ、今は、そこから内側に入ってきてフィニッシュに絡む動きが増えてきている。もとより、トニ・クロースやルカ・モドリッチといった優秀なパサーがそろっているチームだ。「1タッチか2タッチで」シュートを打つことができれば、得点数が増加する可能性は十分にあった。
ジダンのような圧倒的なカリスマ性はないが、アンチェロッティには卓越した戦術眼や指導力、マネジメント力がある。現在のレアル・マドリードが持つタレント性との親和性は高かった。