■選手を輝かせるマネジメント力
結論から言えば、ペレス会長の戦略人事は成功した。
アンチェロッティは見事にチームを立て直した。とはいえ、昨季のチャンピオンズリーグでベスト4に進出したレアル・マドリードだ。立て直した、という表現は適切ではないかもしれない。それでもアンチェロッティの就任で安定したチームになってきているのは間違いない。ゆえにリーガで取りこぼしが少なく、首位を走っているのである。
同じイタリア人であるコンテならば完璧に機能するシステムの構築、トッテナム時代に多くの若手選手を発掘したポチェッティーノならば育成力と、他の候補にもそれぞれの持ち味がある。一方でアンチェロッティが打ち出しているのが、個々をさらに輝かせる戦術眼、指導力、選手マネジメントだ。
例えば今シーズン、序盤戦でマルコ・アセンシオがインサイドハーフにコンバートされた。本来なら、彼はウィングでプレーする選手だ。しかしながらウィングにはガレス・ベイルやエデン・アザールなど高額な移籍金で加入したスター選手がいる。それでもアセンシオのポテンシャルを信じているアンチェロッティはアセンシオを中盤で起用して新境地を開拓しようとした。以前、アンヘル・ディ・マリアにしたように、である。