■気さくだったグランヴィル先生
さて、スウェーデンに着いて最初に見に行った試合はマルメで行われたフランス対イングランド戦でした(フランス代表の監督はミシェル・プラティニ。「蹴球放浪記」第37回「鰻尽くしとウォッカ」の巻を参照)。試合はスコアレスドローに終わり、記者会見室に行って前の方の席に座っていました(外国語で行われる会見では前の方に座っていないと聞き取りが難しいので)。そして、隣の席をチラッと見ると、なんとそこにはブライアン・グランヴィル先生が座っているではありませんか!
挨拶すべきかどうか……と迷っていると、すぐに会見が始まってしまいました。いろいろな記者が手を挙げて質問し始めました。
すると、グランヴィル先生が僕に話しかけてくるのです。
「くだらん質問ばっかりだなぁ。お前、そう思わんか?」と。
なんと、恐れ多いこと……。「はい、そうですねぇ」と恐縮しながら相槌を打つしかありません。
そして、スウェーデンの大会の間に、どういうわけか僕は何度かグランヴィル先生の隣に座る機会があり、その度に先生は「質問が下手でつまらないよな」と、アジア人の若造(当時、僕は40歳)を相手に話しかけてきたのです。