■「国家クラブ」と呼ばれるパリSG
カタールがスポーツに力を入れ、サッカーのワールドカップ招致に腐心したのには理由がある。
近年、カタールは石油・天然ガスといった原資をもとにグローバル経済下で存在感を示してきた。国際会議の誘致や国際衛星放送の設立などを含め、各界で積極的に動いてきた。そうしてカタールあるいはその首都が世界経済を巡るディベートの中で言及されることが増えていった。
その中で、メディア露出をさらに増加させるため、白羽の矢が立てられたのがスポーツでありサッカーだった。およそ2億6000万人の競技人口を誇る世界的なスポーツで、とりわけヨーロッパでは絶大な影響力を持つ。カタールとしては、これはイメージ戦略に使えるあまりに美味しい「リソース」だった。
実際、カタールのワールドカップ招致、パリSGのネイマールやムバッペの獲得で、幾度となくカタールの存在がクローズアップされた。「国家クラブ」なる言葉が流布して、パリSGGとカタールをほぼ同義として結びつける人が普通に存在するくらいに、その名はこの数年で世界に轟いた。それこそが、まさにカタールとパリSGの狙いだったのだ。