■4年間で48倍に膨れ上がった放映権料

 1999年、ワールドカップの放送権を獲得した販売会社から日本が負担すべき放映権料が示された。2002年と2006年の2回のワールドカップとともに、1999年から2005年までのFIFAの公式大会(女子ワールドカップ、フットサル世界選手権、U-17とU-20の世界選手権を含めた15大会のパッケージで6億5000万スイスフラン(約585億円)というとてつもない額だった。1998年フランス大会を独占中継したNHKの負担額は6億円だったから、2002年大会分を585億円の半額290億円としても48倍という途方もない額だった。

 当然NHK1局では対応できず、すでにオリンピックでは1970年代から採用していた「ジャパン・コンソーシアム(NHKと民放の連合体)」方式での検討が始まる。最終的に、2002年大会について、ジャパン・コンソーシアム(地上波とBS)が40試合、全64試合のCS独占権を「スカパー!」が獲得し、総額190億円弱の契約となった。

 そしていま、日本のファンは、2022年カタール大会をテレビで見ることができない事態に直面している。すでにアジア最終予選は、ホームゲームのみテレビ朝日系ネットワークでの全国放送が行われているものの、アウェーゲームの地上波/BSでの中継はなく、ネットの動画配信サービスDAZN(ダゾーン)でしか見ることができない。今回日本が予選に勝てば本大会に向け何かの動きがあるかもしれないが、日本が出場しなければ、日本のテレビからワールドカップが消える恐れは十分ある。

(5)へ続く
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