2022年にはワールドカップ・カタール大会が開催される。世界最大のスポーツイベントだが、すでに単なるサッカー最強国を決める大会にはとどまらなくなっている。続伸するその勢いはとどまるところを知らず、ついには自らをも飲み込もうとしている。
■地元開催なのに日本でテレビ観戦できない!?
1996年、FIFAは放映権販売の考え方を転換する。デジタル多チャンネル化によるテレビ局の競争激化に乗じて、オリンピックや欧州のクラブ大会、さらにはプレミアリーグを筆頭にした欧州のトップリーグが巨額の放映権料を稼ぐのを傍観していることに耐えきれなくなったのだ。ワールド・コンソーシアムとの契約を更新せず、ドイツとスイスの放映権販売会社の合同グループに一括販売することにしたのだ。その結果、FIFAは2002年日本/韓国大会で13億スイスフラン(約1044億円)、2006年大会では15億スイスフラン(約1305億円)もの放送権収入を得ることになった。ワールド・コンソーシアム時代の10倍である。
2002年大会を前に、日本では「ワールドカップを開催しても、日本国内ではテレビ放送を見られないのではないか」との懸念が広がった。